理事長ご挨拶
1971年(昭和46年)9月1日開院以来、地域社会の多くの人達のご支援のもと当院は43年目を迎える事が出来ました。
当時の精神科医療は医師一看護師による医療チームによって、病院での入院治療中心の保護的な医療がまだ続いていました。
しかし、昭和30年代後半からの向精神病薬の著しい進歩と、治療に関わる多くの職種の人達の疾病の理解と治療の実践からの気付きから、治療は大きく変化し精神病者・障がい者の社会生活を容易にすることとなりました。早期治療が早期退院や社会生活を可能にする事もわかってきました。この理解のもとに精神病者・障がい者の社会での個人的な生活レベルを考えた多角的人間理解と、それに基づく人が、人として人の支援をする、全人的な医療アプローチが一層必要とされる事となりました。
すなわち、それまでの医療チームでは対応の難しい問題を多く抱えることより、全人的医療アプローチを視野においた多くのスタッフ(医師、看護師、薬剤師、心理療法士、作業療法士、栄養士、介護士等)の専門性の疎通理解のもとでの治療目標に基づく”チーム医療”の確立が重要となってきました。
1965年(昭和40年)に精神衛生法が改正され、精神衛生センター設置や通院医療公費負担制度などが認められ、より開かれた精神医療が推進されるようになりました。このような背景の中で、私どもの病院では有能な専門職の方々が多数集まりました。チーム医療を実践し病棟の特性を生かした機能分化をはかり、治療成績の向上をはかりつつ一方では、入院中心の精神科医療から地域精神医療と地域ケアの転換を促進する為に精神病者・障がい者の状態に即して対応可能な社会復帰施設を設立し、その充実にも力を入れ多くの成果をあげてきました。
幸いにも1995年(平成7年)精神保健法が、精神保健福祉法に改称され、その後も改正が行われ精神医療と福祉の充実が法制化されました。
人間は生物学的・心理社会的・倫理学的な存在ですから、その観点のもとで全人的な包括的治療を行い、私どもの理念である、ご家族(家族会)・地域社会の人達にもご参加をいただき、共生社会を創っていきたいと共に頑張っています。
現在、私どもの病院は2009年(平成21年)4月、新しい病院が2年かけて完成しました。その内容をご理解いただくために、現在私どもの病院が行っている治療内容と保険医療・福祉を通じた通院・入院治療から社会復帰までのあらゆる段階での支援内容について、ご案内することとなりました。
私どもスタッフがお役に立たせていただける事が少しでもございましたら、いっでもご連絡いただき、ご来院・ご相談ください。
理事長 佐藤亮藏