院長ご挨拶
病院が開設された頃、見渡す限りの玉ねぎ畑がありその中にポツンと建物が建っていました。昭和40年代頃は、まだまだ精神科に対する偏見が強くあり、街から遠く離れた不便な所に患者さんを囲い込もうとする時代でした。
開設から46年が経ち、病院周辺の環境はすっかり様変わりして、現在の建物は住宅街の真ん中に立地しています。時代の要請もあり、精神科病院は患者さんを世の中から隔離するのではなく、可能な限り地域に住むように求められています。
精神医療を担ってゆくにあたり、当院の理念があります。それは、病んでいる人を『受容』し、そして病む人を『寛容』の精神で包みこみ、病気を治療して地域社会との『共生』を目指す事です。その甲斐あって、最近では近所の公園において、町内会のご協力をいただき、住民の方々と患者さんが盆踊り大会を一緒に楽しんだり、住民の方に体育館を利用して頂くなど、地域の方々に暖かく受け入れられていると思っています。
さて、2025年に向けての高齢者問題が注目されています。当院では以前から認知症の医療に特に力を入れてきました。認知症専門病棟を備え、社会復帰の支援や退院後のフォローとしてデイサービスや訪問介護事業などを充実させてきました。また、単身者のためのグループホームや高齢者共同住居などを運営し、地域医療と福祉・介護活動に一層努力し、社会貢献して行きたいと思います。
院長 吉野 實